NCTマーク「Child」から見る'拍子とビートと感情'【前半】
NCTが各々の音楽を発表する「NCTLAB」の第一発目はマーク
企画の詳細は省きますが、マークからこの企画は始まりました。
それぞれ、クンは作曲を勉強してきたガチの方だし、テヨンはSoundCloud等で音楽発信をしています。そんな多彩なメンバーぞろいのこのグループで、今後誰がどんな音楽を発信してくれるのかとっても楽しみです。
本当に私個人のお話になってしまうのですが、私はガチガチのクラシック音楽理論を叩き込まれた人なので、たまにこの知識がない状態から音楽制作をしてみたいなと思うんです。
恐らくそれが一般社会のデフォルトというか…わかんないけど
でもそんなガチガチの知識を活かして、音楽がただのBGMではなく「音楽を聴いて何かを感じる」ことに繋がるようにしたいなと思ってます。
最近バタバタで全くTwitterも更新できなかったんですけど、3月からは気を引き締めたいと思います!
そう、それで話を戻しますが
今回取り上げてみたいなと思ったマークの「Child」。
すごく感情に寄り添ってくれるようなタイプの曲でこの曲大好きな方多そうだなと思ったので、その愛されるべき理由も考えていきたいと思います。
3種類の段落と拍子
小学校の時に一マス下がったところに数字をかいたりしましたよね。
その'段落'をあてはめるみたいに大きく分けて考えようかなと思います。
この曲は歌としての形式ではなく、物語としてとらえた方がいいかなと思うのでそうしてみますね。
タイトルにあるように、拍子やビートといった音階のないリズム群の変化と、それに付随する感情について分析します。
①夢に逃避しているところ(00:00~00:50)
曲の始まりというとっても大事な部分。
ここは、マークの絶妙な歌声に浸れるところですが、このゆったりした雰囲気を後押ししている要因のひとつとして、8分の6拍子になっています。
123123~という風に進んでいくこの拍子、細かい拍は見ての通り奇数のくくりになっているんですけど、1の部分だけを切り取って大きなくくりで考えると2拍子になっているというややこしい拍子です。(複合拍子とかいう)
例えば、最近のK-POP楽曲で考えると....
B1A4のLike a Movieもそうです。
(MV)B1A4_영화처럼(Like a Movie) - YouTube
でも一番分かりやすいのは、日本の演歌です。
名曲である津軽海峡とか
津軽海峡 . 冬景色 / つがるかいきょう・ふゆげしき - 石川さゆり - YouTube
歌いだしの歌詞を見てもらうと分かりやすいのですが、
うえの・はつの・やこう・れっしゃ・おりた・ときか・ら~
と、3つくくりになっているのがよくわかりますよね。まさにこれです。
そんな8分の6拍子を用いたこの箇所は、奇数のリズムが故に少し宙に浮いたような、ふわふわした音楽となっているのですが、歌詞にも注目して見ます。
のが むぉんで ね まうむr
너가 뭔데 내 마음을
君がなんだっていうんだ 僕の心を
めだrご ふんどぅろ なr おじろpっけ
매달고 흔들어 날 어지럽게
吊るして揺らして 僕に目眩をさせて
ねが むんじぇあらみょん うぇ
내가 문제아라면 왜
僕がトラブルメーカーならどうして
はんさん じrむぬr どんじぬん ごんで
항상 질문을 던지는 건데
いつも質問を投げかけてくるの
Oh I Oh I Oh I
そどぅるだが
서두르다가
急いでいるうちに
Oh I Oh I Oh I
そとぅrろじね
서툴러지네
うまくいかなくなってくるね
なんか全然自信が持てなくて、相手に揺さぶられている自分が表現された歌詞。
そんな歌詞を8分の6拍子に乗せて歌うことで、感情の揺れがより表された感じになっていますね。
②現実を感じるところ(00:50~01:12)
MVでは、マークが起き上がる所からはじまるこの段落。
まえのシーンとは、音楽の拍子がガラッと変わった感じがするかと思いますが、ここからは偶数拍になっています。
とはいってもなんかつかみにくいビートですよね…
ここはちょっと癖のあるビートで、ハーフタイムのグルーブやバスドラムの3連符がビートに重さを出しています。
NCT127の'ギミギミ'も同様の重ためビートだったことはまだ記憶に新しいと思いますが同じ感じです。(笑)
ここからの歌詞は、
I'm a child
のが ばらんでろん もっとぇ
너가 바란대론 못 돼
君が望むようにはできないよ
Have a good night
じゃじゃんがぬん ぴりょ おpって
자장가는 필요 없대
子守唄は必要ないって
It's my question many questions
さらmどぅり ばらぼん なん ぬぐや
사람들이 바라본 난 누구야
他の人たちが見つめてた僕は誰なんだろう
Who am I who I'll be
だるん ばm がとぅん Nightmare
다른 밤 같은 Nightmare
別の夜 同じNightmare
I'm a child~から始まり、開き直るというか、現実を見て自分に問いただすような歌詞が印象的です。まだ自分の中で答えが見いだせていないモヤモヤ感が、この重ためビートに乗っかって感情的に感じることが出来ます。
前に進むことってとても難しいことですが、見えない壁を倒して進みだしたい気持ちも感じることが出来ますね。
③前に進みだすところ(01:12~01:36)
共に走り出したくなるようなサビですね。
ここからは、さっきと同じ偶数拍だけどノレるビートに変わります。
つまり、さっきのリズムを倍にしたビートになりました。スネアの位置が、さっきは1234のところにあったけど、ここからは1234となっており、数が増えたのです。
スネアの箇所(紫で示した部分)を音楽に合わせて手拍子してみると分かりやすいかもしれないです。
歌詞もガラッと変わって、
Why why why kill my night
のが ぶすぉぼりん ばめ
너가 부숴버린 밤에
君が壊してしまった夜に
ねが だちr っご っがた
내가 다칠 것 같아
僕が傷つきそうだ
Blah blah blah y'all talk too much
Don't waste my time
ごぎっかじまん へ
거기까지만 해
それくらいにしておいてよ
自分の意思が見え始めていることが分かる歌詞ですよね。
まだまだ不完全だけど、一歩踏み出して自分の意思を表すことに意味があるように感じさせてくれるようなサビです。
ここまでのまとめ
こうして、3つの段落に分けてみました。
何となく、普段あまり注目しない'拍子'に注目していただけましたでしょうか。
最近では、ビートスイッチが用いられた曲も多いので、この手の拍子替えはクラシックよりというか、割とスタンダードだったりするのですが、シンプルイズベストでとっても良いですほんとに。
あまり拍子やビートと歌の感情をリンクさせた楽曲ってないなあと思うのですが、拍子がただの音楽的要素なだけではなく、感情を後押しできるものだとわかると、今後の楽曲を楽しむ要素がまた増えた気がしますね。
この曲は、3つの段落に分けることが出来ますが、後半もその3つを行ったり来たりしながら音楽が終わっていくので、その後半部分はまた後日解説したいと思います。