NCTマーク「Child」から見る'拍子とビートと感情'【後半】
*コチラは後半のブログになります。前半はこちらからお読みください↓
NCTマークの【Child】についての後半戦!
前回は、この楽曲を3つの段落に分けて拍子と感情の動きを見ていきました。
今回は楽曲の後半部分を解析していきたいのですが、まず前半に紹介した3つの段落をも一度復習してみます。
①夢に逃避しているところ
これは曲の始まりの3のくくりで拍が進んでいく8分の6拍子のところでした。ゆったりとした体感で、自分に自信が持てないような感情が歌われていましたね。
②現実を感じるところ
I'm a child~と起き上がるシーンから始まり、ずっしりとした重さのある偶数のクセビートが特徴的なところでした。モヤモヤを自分に問いただす絶妙な感情が歌われていました。
③前に進みだすところ
サビの部分です。走り出すMVにあったビートに変化するところでした。一歩踏み出したような歌詞でした。
3つに分けるとこのような感じでした。
そして後半部もこの3つが交互に出てくるような構成になっているのですが、聴きどころポイントが増えるので、そこも交えてお話していきたいと思います!
サビ終わり(01:37~01:59)は②の段落と同じビート
サビで走り出したその後のシーンですね。
ここでは②と同じビートに戻ってくるのですが、違う点がいくつか。
ここはラップ部分となっていて、1番の時と比べると英語の割合も多く口数が増えてベラベラ言葉を吐き出しているように感じます。愚痴を言うときとかって早口になったりするじゃないですか、(私だけ?笑)それと似たイメージです。
ここのビートは重たいのに対してマークのラップは軽い、この対比がまた良いです。
重いビートだと言葉を乗せにくいと思うのですが、あえてビートに乗せないおかげでラップではなくマークのお喋りのように聴こえるのが面白いです。
I pull at the strings when I'm pissed
あr さらmどぅrまなrじ なん じょm
알 사람들만 알지 난 좀
知ってる人は知ってるよね 僕はちょっと
Twisted but the fittest to the point
っくみらぬん げ てやんいらみょん
꿈이라는 게 태양이라면
夢というものが太陽なら
ね もりぬん ぐごr
내 머리는 그걸
僕の頭の中はそれを
びんびん どぬん Earth all day
빙빙 도는 Earth all day
ぐるぐる回る Earth all day
I'm alert it's a curse yeah it hurts
I don't know my own strength
There's a lot that I don't know
But you learn when you don't know
Red on my Valentino
歌詞からは、自分はこうだから!って開き直っているニュアンスが伺えます。
続き(01:59~02:21)からはラップに拍車をかけるように③のビートになる
ここからは③のノレるテンポに変わり、言葉をビートに乗せやすくなりました。
なので、単純に喋り(ラップ)がヒートアップしてきたように感じることが出来ます。
韓国語の割り合いも増え、畳み掛けるように思いが伝わってくる気がしませんか?
このエリア最後の歌詞♪Tell me later~で、言い切った!って感じ。(笑)
ぶすぉど ぶすrれ ね ちぇぎmがm
부숴도 부술래 내 책임감
壊したってさらに壊すんだ 僕の責任感
じゃゆろうrってかっじ どぅぃる らん どらぶぁ
자유로울 때까지 뒤를 안 돌아봐
自由になるときまで後ろは振り返らない
っこん もん なみ どぇご しぽっそ い さふぇわ
꼭 먼 남이 되고 싶었어 이 사회와
あたかも遠い他人のようになりたかったんだ この社会と
Propaneに ぶろうぉ
Propane이 부러워
Propaneが羨ましいよ
I need to blow up now
とぅばけや ぬっきょじな ぶぁ い まっ
투박해야 느껴지나 봐 이 맛
粗末だからこそ感じられるみたいだこの味は
がしるr ぎrろ すぃpっけ もん のmぎげ なr
가시를 길러 쉽게 못 넘기게 날
棘を生やすよ 僕を簡単に乗り越えていかないように
How'd I get so bitter
Brother liquor
I don't feel the same
の のって
넌 어때
君はどう?
Tell me later
スピーチでもなんでも、たとえ言葉がつたなくても情熱をもって自分の思っていることを伝えようとしている人には惹かれますよね。
マークの言葉にも一言一句熱い思いがこもっているように感じるのですが、それをしっかり支え後押ししてくれているのがまさにビートではないでしょうか。
ラップを経て②の段落に帰ってきました(02:21~02:44)
ここからは1番と同じで聞き覚えがあるメロディーに帰ってきましたね。
さっきまでの熱は一旦ここで落ち着けてください(笑)
ここで最初の①に戻るのまじエモ…(02:45~03:06)
さっきまでの流れを断ち切るかのように初めの①に戻ります。
MVではキラキラが散るシーンで、まるで再び夢の中に戻ったような描かれ方がほんとに良いです…
ここで①の特徴を思い出してみます。
全然自信が持てなくて、相手に揺さぶられている自分が表現された歌詞を、8分の6拍子という宙に浮いたような奇数リズムの拍子に乗せて歌うことで、感情の揺れがより表されたシーンでしたね。
またかえってきたこのシーンですが、歌詞はどうでしょうか。
ほkっし ぬぐんがん ごんがまrっか
혹시 누군간 공감할까
もしかして誰かは共感してくれるかな
じぐmまんくむん あらじゅみょん あんどぇrっか
지금만큼은 알아주면 안될까
今だけはわかってくれないかな
あぁ、さっきまでの想いはどこに行ってしまったのか、また少し弱気な部分が出てしまっている…まさに最初の①と同じ感情に戻ってきているわけです。
なんかこれってすごく人間味がありますよね。ただ単純に、別にもういいんだけど願わくばこうなってくれんかな....みたいな感情。
感情の移り変わりを拍子ごと切り替えるこの曲の中で、私が一番グッときたシーンです。
②の拍子でエンドロールのように終わる(03:07~最後)
また②の拍子に戻ってくるのですが、少し違う点として、コーラスのサウンドが加わります。今まではなかった分、マークを後押しするかのように聞こえます。
歌詞も、
「僕は思っていることを言ったんだ、今日はこのように過ごしてみるよ」と
今まで歌った内容を振り返り、また1日が始まっていく様子が伺えます。
そして以外にも未練がないようにあっさり終わっていきます。
まるで映画のエンドロールみたいだと感じました。
~さいごに~
今回は、「拍子とビートと感情」に焦点を当ててみました。
拍子は音楽の要素としてだけではなく、音楽の感情とリンクさせることでシーンをがらりと変えることが出来るし、同じテンポの中でもビートを遊ばせることで、その上に乗っかる歌の聴こえ方を左右することが出来ると改めて感じました。
元々私は曲を作る人ではなく難しい言葉の知識もないのですが、音楽を演奏する人間として、音楽をどう感じるかというところに焦点を当てて生きています。
なので私個人が感じることのお話が多かったと思いますが、なんとなく「なるほどな~」ぐらいで腑に落ちるポイントを見つけていただけてたら嬉しいです。
また次回のテーマも是非見てくださいね♡